Equation of mind

 

 

 物心ついた頃から、僕に不可能の文字は無かった。

 常に学年トップの成績を誇り、名門、緑都学園に主席で入学。

 代々政治家として活躍する円城寺家の長男として、父の後を継ぐために、幼い頃から努力を惜しまず勉学に励んできた結果だ。

 このまま人生のホワイトロードを突き進み、日本のトップを目指す僕の前途は希望に満ち溢れていた。

 満ち溢れていた……はずなのに。

「いいからさっさと金出せよ、金」

「たんまり持ってんだろ? え? お坊ちゃん」

 突然、校舎の裏庭に呼び出された僕は、恐持てなラグビー部員二人を前に息を呑んだ。

 なんという下衆な奴らだ。こんな奴らに、一銭だって出してなるものか。そう心の中で決意しながらも、震える肩は止まってはくれない。

 一人の部員が拳を振り上げた瞬間、僕は思わず目を閉じた。しかし予想していたような衝撃はなく、恐る恐る目を開くと、男の手を掴み、切れ長の瞳で威圧感を持って男を見つめる一人の生徒の姿が映った。

「て、手塚……っ」

 途端に部員が恐怖におののいた目をして、声をあげる。手塚と呼ばれた一人の生徒が、にっこりと笑みを浮かべた。

「そのくらいにしたまえ。停学処分をくらいたくなかったらね」

 彼が穏やかな口調でそう言ったかと思うと、僕を強請っていた二人のラグビー部員は、慌ててその場から逃げるように去っていった。

「大丈夫かい?」

「は……はい……! あ、ありがとうございます!!」

「なに、気にすることないよ。君は確か、円城寺君だったね?」

「え……どうして、僕の名を……」

「優秀な人間というものは、否が応でも目についてしまうものだよ」

 落ち着いた声。凛とした眼差し。背筋の伸びた美しい佇まい。

 胸の鼓動が、どんどん高まっていく。

「君のその素晴らしい能力、是非とも我が校のために役立ててくれないか?」

 躊躇うことは、何一つ無かった。

 生まれて初めて、僕が「美しい」と思った人。

 彼のために、僕は僕の全てを捧げよう。たとえ何が起ころうとも、彼の支えとなり、力となり、彼の美しさを守り続けて行こう。 

 その日から、僕の人生は一変した。

 円城寺聡、高校一年生の春。

 僕が彼に生涯の忠誠を誓った日。




 そして、季節は秋。

 体育祭が終わり、文化祭に向け多忙な毎日の中、僕は今日も生徒会室で公務を行う。

 会議を終え、それぞれに自分の仕事を淡々とこなす中、ふと、僕は会長に目を向けた。そしてハッと目を見開いた。

 あの目つき。あの仕草。あの表情。

 これは……間違いない!!!

「九条」

「なんでしょう、副会長」

「すぐに寝床の準備を」

 隣にいた会計の九条にそう申し付けると、九条もまたハッと目を見開き、すぐさま生徒会室の隅に仮眠用のマットを準備する。 僕は椅子から立ち上がり会長のそばに歩み寄る。

「会長、少しお休みになられてはいかがでしょう」

 尋ねると、会長は静かに微笑んだ。

「ああ、そうさせてもらうよ。ありがとう」

 そう言って会長は用意されたマットの上に寝転がる。僕は薄いタオルケットを会長の体にかけた。

 眠りに落ちてゆく会長の姿を見つめながら、僕は会長のお言葉を頭の中で反芻させる。

 いつもながら、部下に決して感謝の心を忘れない素晴らしいお心遣い。ただただ感動しながら、立ち上がって元の席に腰をおろす。

 会長がゆっくりお休みになられている間に、僕は残りの書類のチェック終え、九条と共に文化祭の予算分配などを行う。

 一時間が経過する頃、僕は立ち上がり、戸棚から専用の湯飲みを取り出しお茶を入れ、会長の元に歩み寄った。

「お目覚めになられましたか。どうぞ」

 ゆっくり体を起こす会長に、僕はそっと湯飲みを手渡した。

「円城寺、例の書類は」

「は、既に作成済みでございます」

 頼まれていた書類を見せると、会長は湯飲みを片手にチェックを入れる。

「問題はやはり、一年A組か……」

「はい。なにゆえ、彼らがどのような目論見をしているのか、誰も口を割らない始末。やはり彼らに会議室を明け渡したのは無謀だったのでは……」

「過ぎたことを言っても仕方あるまい。大丈夫だ、しっかり手は打ってある」

「……やはり、彼を?」

 尋ねるが、会長は何も応えず、ただ薄く笑みを浮かべただけだった。

 

 僕の一日は生徒会に始まり、生徒会に終わる。

 その日も朝から会長の指示に従い、各部の現状を把握するため朝練の見学を遂行。授業の休み時間は常に会長からの指示である、各先生方に配る書類作成。昼休みは昼食を早々に終え、会長からの指示である各クラス役員との交流。そして放課後は生徒会室にて、会長からの指示である文化祭の準備、各行事の管理体制の見直し、部活動の徹底把握など、帰宅時間までただひたすら生徒会の仕事に集中する。その間も勿論、会長の体調管理は見逃さない。少しでも変化があれば即座に対応できるよう、3分に一度は会長の様子をチェックする。

 またしても、僕はハッと目を見開いた。

 あの表情。あの目つき。あの様子。

 これは……間違いない!!!

「勅使河原」

「はい」

「すぐにチェスの準備を」

 役員の勅使河原に申し付けると、勅使河原はすぐさまチェスの準備をする。

「会長、よろしければ一手、いかがですか?」

 僕は会長に歩み寄り、チェスの勝負を申し出た。

「今日はそんな気分じゃないな」

 つまらなそうに顔を背けられ、僕は自身の判断の誤りを即座に反省し、気を取り直して尋ねる。

「それでは、散歩にでも行かれますか? 先日、面白い店を発見しましたので、会長にも気に入っていただけるかと」

「ほう……それは興味あるな。ぜひ連れて行ってくれ」

 そう言って興味を示した瞳をする会長に、僕は胸が熱くなるのを感じながら、ややずれた眼鏡をかけ直した。

 
 住宅街の隅にポツンと開かれている、古い木造建ての小さな店内に足を踏み入れるなり、会長は瓶型をしたプラスチックで出来た小さな容器を手にとり、興味深げに見つめ、僕に尋ねてきた。

「これは何だ?」

「は、それはヨーグルといって、基本ベースはショートニング、その他砂糖・クエン酸・香料で作られた極めてシンプルな駄菓子でございます。こちらのスプーンですくって食すものと思われますが、会長のお口に合われるかどうか」

「これは?」

「そちらは梅ジャムといって、こちらのせんべいにはさんで食べる方法が主流のようです」

「う○い棒……」

「そちらのキャラクターは1978年9月13日生まれ、乙女座のA型で、「う○えもん」と呼ばれる異星人とされており……」

「あんた達、買うならさっさとしとくれよ」

 店内の隅で立っていたご婦人に声をかけられ、僕は会長が手にとったものを手当たり次第購入し、その店を後にした。

 
 
 
 その日はいつになく会長の様子がおかしかった。

 いったい会長の身に何が起こったのかと、僕は朝から気が気でなく、いつもと違い少しも仕事に集中できないまま放課後を迎え生徒会室で仕事をしていると、やけに室内の雰囲気が重い。

 やはり皆も、同じように感じているに違いない。

 いったい何がそこまで、会長を不愉快な気分にさせているというのか。

 まるで見当がつかないまま、会長の好きな極上の玉露で入れた茶を運び、先日いたく気に入っておられた「う○い棒メンタイ味」を一緒に添えるものの、会長の機嫌はいっこうに良くならない。

 もしや昨日、会長の住む寮内で、何か問題でもあったのだろうか。

 どうにか会長の気分を向上させるため、僕は会長の同居人である池田光流先輩のもとへ足を向けた。



「あー……昨夜、ちょっとモメてな。いいから放っておけって、そのうち機嫌治るだろ」

 僕が真剣に尋ねているというのに、池田先輩はまるで楽観的にそう言い放ち、校庭にむかって走っていった。

 まったく無神経な人だと思わずにはいられない。会長のデリケートなお心をまるでわかっていない池田先輩に憤りばかりを感じながら、僕は生徒会室に足を向けた。


 そっと生徒会室の扉を開くと、役員達は既に帰ったようで、会長は一人ぽつんと窓際に立たれていた。

 まったく、あの役員達は。怖がるよりも先に、会長のお心をお慰めするのが我々の役目だろうに。
 呆れと怒りを胸に、僕は会長に歩み寄る。しかし、一瞬、声をかけることに戸惑った。

 会長が、酷く寂しげな瞳で、窓の外を見つめていたからだ。

 僕は窓の外に目をやり、会長の視線の先にある光景を見て、「ああ……」と心の中で頷いた。



 会長がこんな顔をする理由は、一つしかないと、僕はもうとうに知っている。

 知っているからこそ、どうすることも出来ない自分が、ただ歯がゆくてもどかしくて苦しい。

 僕は静かに踵を返すと、音をたてないようドアを閉じて生徒会室を後にした。



 ただどうしようもなく、胸が痛むのだ。

 幼い頃から、こんな風に誰かのために胸を痛めることなど、一度も無かったのに。

 ぎゅっと胸が締め付けられる苦しさばかりを抱えながら、廊下を歩き、校舎の外にむかう。

 校庭ではサッカー部がいつものように活動を行っている。賑やかな声が僕の耳に届いた。

「うらぁっ、どけどけどけーっ!!!!」

「そうはさせるかーっ!!!!」

「おわ!!??」

 ボールを蹴りながらゴールに向かって猛突進していく池田先輩に、サッカー部員がタックルをかけ、直後に池田先輩が派手に転倒して目を回す。

「おい光流っ、大丈夫か!!??」

 どうやら意識を失ったらしい池田先輩にサッカー部員達が群がっていく。僕もハッと目を見開いた。

 我が校で大きな事故でもあったら大変だ。僕も即座に彼らに駆け寄った。

「まったく無茶ばかりする奴だ」

 保健室に運び込まれたものの、ベッドの上に横たわったまままだ目を覚まさない池田先輩を前に、保険医蓮川先生が呆れ声を放つ。

 僕もまた、先生と同じ想いだった。

 サッカー部員でもないのに、ただの練習試合に何をあんなにムキになる必要があると言うのか。まったくもって僕には不可解だ。

「では僕はこれで、失礼します」

「ああ、ご苦労だったな、円城寺」

「いえ、生徒を助けるのも生徒会役員としての大事な仕事ですから」

 僕がそう言うと、蓮川先生は何故か苦い笑みを浮かべる。けれど気にせず、僕は保健室の扉を開いて廊下に出た。

 そして、そのまますぐに生徒会室へむかう。

 
 生徒会室の扉を開くと、会長はいつもの席に座り、怜悧な顔つきで文化祭の書類に目を通していた。

「会長」

「何だい?」

 僕に目を向けないままの会長に歩み寄り、僕は慎重に言葉を選びながら言った。

「二年生の一人が怪我をした模様で、先ほど保健室に運ばれました。もしよろしければ、様子を見に行ってはいただけませんか?」

「……それは、僕が行くほどの事かな?」

「申し訳ありません。ですが、事が大きくなってからでは対処に困りますので」

 僕の言葉に、会長は小さくため息をついて、それからゆっくりと立ち上がった。

「行って来る」

「よろしくお願いします」

 背を向け生徒会室を出て行く会長を見送り、僕は先ほどまで会長が目を通していた書類を手に取る。

 仕事をしなければ。

 そう思うのに、胸の内のもやもやが収まらない。

 
 何故こんなにも、心が騒ぐのだろう。胸が痛いのだろう。

 ……泣きたく……なるのだろう。

 会長が、酷く寂しそうな瞳をしている。ただ、それだけの事で。

 書類を机の上に置く手が震える。

 僕はこれまで、誰にも何にも……まして両親にさえ、こんな風に心を掻き乱されることは無かった。

 僕の心はいつでも緩やかな波のように平穏で。

 小さな個室と机とベッド、たくさんの本と、鉛筆とノート。

 それさえあれば、他には何も要らなかった。

 だからこんな風に、他人と関わりながら必死で校内を走り回る毎日なんて、この学園に入学してきた頃は考えもしなかった。

 それなのに、あの日、あの方に出会ってしまったから。 僕の心に「平穏」の二文字は無くなった。

 彼の一挙一動に心を配り、気を張り巡らせ、彼が喜んでくれれば僕も喜び、彼が悲しめば僕もまたどうしようもない悲しみに苛まれる。そしてそれは、どうしても解けない方程式を徹夜して解いた時の喜びよりも、模試の順位が下がって酷く落ち込んだ時の悲しみよりも、ずっとずっと、僕の心を激しく波立たせる。

 けれど、きっとあの方は、何も知らない。

 僕がどれだけ、彼という人間を必要としているのか。焦がれているのか。敬愛してやまないのか。

 何故ならあの方の心には、いつも、一人の人間しか存在していないのだから。

 この生徒会室の窓から見つめていた彼にしか、本当の心は見せないのだから。

 それなのに、彼は、わかっているのだろうか。

 そんな会長のお心を。

 彼の一挙一動が、会長にとってどれほど大きなものなのか。

 いつも会長が、どれほどの不安を抱えながら、彼を見つめているのか。

 悔しさや憤りばかりが胸の内に渦巻く。

 くしゃりと音をたて、僕は手の中の書類を握り締めた。握り締めた手は、ただ震えるばかりだった。



 翌日、会長のご機嫌はすっかり治られていて、僕たち生徒会役員はほっと胸を撫で下ろしながら、その日も公務に励んだ。

 文化祭で行う劇のために衣装を繕っていると、ふと扉が開いた。

「忍~、来たぜー」

 今回初の試みである生徒会の催し物に、主人公として出演してもらうことになった彼、池田先輩が気のない声をあげながら生徒会室に入ってくる。

 僕はほんの少し苛立ちを感じながらも、彼を快く出迎えた。この劇を成功させるためにも、彼は僕たちにとって必要不可欠な存在だ。そして会長の目的のためにも、決して彼を邪険にするわけにはいかない。

「池田先輩、お疲れでしょう。お茶でもいかがですか?」

 劇の練習を終えた後、一緒に繕い物を手伝ってくれる池田先輩に、僕は会長と同じお茶を差し出した。

「おう、サンキュー。しっかしおまえらもよくやるよなー。んな手のこんだ衣装作る時間も惜しいだろーに」

「我が校の文化祭を盛り上げるためですから」

 僕は彼の隣に座り、縫いかけの衣装を仕上げるために針に糸を通す。

「そういう先輩も、部活動などで忙しいんじゃありませんか? 衣装まで手伝っていただいて申し訳ありません」

 先日のサッカーだけでなく、普段からあちこちに引っ張り回され常に忙しそうな池田先輩に、僕は心から申し訳なさを感じながら言った。

「まあ……できる限りのことは、してやりてーしな。頑張ってる奴にはさ」

 池田先輩はそう言って、どこか優しい目をした。

 その視線の先には、道明寺と予算についての打ち合わせをしている会長がいて。

(ああ……大丈夫だ)

 僕は途端に安堵感を覚え、そうしたら、急に胸の内に温かいものが広がっていくのを感じた。

「……ありがとうございます」

 静かにそう言って、僕は衣装の生地に針を通した。



 怒涛の日々が続き、ややトラブルに見舞われたものの、文化祭は何とか無事に終了をむかえた。

 やっと、平穏な日常が戻ってくる。けれどほっと一息ついたのも束の間、生徒会役員の仕事は腐るほどある。

 僕は今日も会長の指示に従い、雑務をこなす。

 不意に、ハッと目を見開いた。

 あの表情。あの目つき。あの様子。

 これは……間違いない!!!

「道明寺、すぐに寝床の用意を」

 書記、道明寺もまたハッとした顔を向け、すぐさま寝床の準備に取り掛かった。

「会長、少しお休みになられてはいかがですか?」

「ああ……そうさせてもらうよ。ありがとう」

 会長がにっこりと微笑む。それだけで、僕の心は十分すぎるほどに満たされる。

 マットの上に横たわる会長の身体にタオルケットをかけ、眠りに落ちてゆく姿を見守り、元の席に戻る。


 よほど疲れているのか、会長は珍しくずいぶん長いこと眠っていた。

 次々に帰っていく生徒会役員が全員いなくなってもまだ眠り続ける会長を、いいかげん起こさなくてはと思い、僕は公務を終えて眠る会長のもとに歩み寄った。

 起こそうと肩に手をかけようとして、そのまま動きが止まる。

 もう少しだけ。

 この安らかな眠りを、見守っていたいと思った。

 僕にはただ、こうすることしか出来ないのだから。


 いつか……気づいてくれるといい。

 あなたが想う人以外にも、あなたのことをいつも見ている人が、すぐそばにいるということに。

 あなたが喜べば同じように喜び、あなたが苦しめば同じように苦しみ、あなたが泣いていればあなた以上に悲しむ人が、いつもあなたの隣にいるのだということに。

 それまで僕は、いつでもあなたのそばにいて、あなたを見て、あなたのために全てを捧げると、自分自身に誓おう。


 それが僕の幸福であり、僕が選んだ道であり、僕自身の生き方なのだから。


「……つ……」

「会長? お目覚めになられましたか?」

 ふと小さく口元が動いて、僕はそっと会長の肩に手をかけた。

 突然、会長の腕が伸びてきて、僕の首に回される。

 途端に鼓動が激しく高まって、どうしていいかわからず、僕はただ全身を硬直させた。

「……る……」

 ぎゅっと抱きつかれて、会長の体温と柔らかな髪を頬に感じながら、僕の心に大嵐が吹き荒れる。波がうねり、船が沈没して、凄まじい豪雨が水面上を叩きつける。

「か……かかかかか……!!!」

 どうしよう。

 どうしよう! どうしよう!! どうしよう!!!!

 こんな時、いったい僕はどうしたらいいんですかお母さん!!!!

 こんな時、いったいどうすれば良いのか、何故誰も教えてはくれなかったのですか先生方!!!

 どんな難解な方程式よりも難解なこの心を、いったいどうすれば解くことができるんですか神様ヘルプ!!!!

 かつてないほどの激しい鼓動に、僕はただただ混乱していると、会長の手に更にぎゅっと力がこもる。

(ああああ……助けてください池田先輩~~~~~っ!!!!)

 やっぱりあなたは偉大です!!!!

 心の中で絶叫しながら、僕はこの日、人生初の大嵐の渦に呑み込まれ、荒れ狂う波の中、ただひたすら翻弄され続けたのであった。



<おまけ>

 
 話は冒頭に遡り、春。

 

 ラグビー部員 「あれで良かったのか? 手塚」

 忍 「ああ、ご苦労だったね。例のあの写真は約束通り、処分しておこう」

 ラグビー部員 「た、頼んだぞ!! 絶対だからな!!??」

 忍 にっこり。